GUCCI(グッチ)2020AWメンズコレクション【「男らしさ」ではなく「人間らしさ」を】

『ジェンダーレス』が叫ばれて久しい現代社会ですが、2020年、その流れは決定的なものになるかもしれない。

『ジェンダーレス』化の大きな波が、ファッションに訪れるかもしれません。

GUCCIの2020年秋冬コレクションをみて、そう感じました。

ミラノの老舗メゾンであるGUCCI(グッチ)のイメージを大胆に刷新、GUCCIに再びピークをもたらした、若き天才デザイナー、アレッサンドロ・ミケーレのその手腕は、もはや21世紀のファッションの伝説です。

彼がクリエイティブ・ディレクター就任執念を記念して、久しぶりにミラノ・メンズ・ファッション・ウィーク(MMFW)にカムバックを果たしたのが、今回の2020年秋冬コレクションです。

GUCCI(グッチ)2020AW

https://www.fashion-press.net/news/57267

テーマは、「男らしさと、その多元性」

男なら男らしくしろ

男なら泣くな

男なら…

男なら…

「男らしく」って何ですか?

社会から強要される「男らしさ」とは、社会が作り上げた幻想であり、男性を縛る鎖です。

アレッサンドロ・ミケーレは今回のコレクションで、男性が強いられる「男らしさ」(男らしい態度や男らしい立ち振る舞い、男らしい言葉遣い、男らしい心持ち、男らしい意思)…

男性に対する、「男らしい」という固定観念の全てを完全に置き去りにしています。

代わって、男性の心の奥底にある純粋さ、繊細さ、弱さ、未熟さ、傷跡、涙、悲しみ、恐れ、好奇心…

男性が見せてはいけないとされる心の中の「本音」をすくい(救い)上げて、服に込めたのです。

「男らしさ」ではなく、「人間らしさ」。

人間が持つ好奇心を服に込めたのです。

『ジェンダーレス』と言う言葉は、女性のためだけの概念ではありません。

男性にも多くの顔があり、オープンにするべき「本音」がある。

「男らしさ」という、他人がつくった箱に無理やり押し込めて、殺してはいけない。

今こそ、男性が真に人間らしく生きるときだ。

アレッサンドロ・ミケーレは、今回のコレクションでそう伝えたかったのだと思います。

GUCCI(グッチ)2020AW ルック

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アレッサンドロ・ミケーレお得意のレトロ感はあえて封印し、まるで、エディスリマンを彷彿とさせるようなロック色全開のスタイリングかと思いきや、衿もとには、ニットで編まれたうさぎのバッジが添えられています。「チャーミング」と「ユーモア」の絶妙なバランス感覚。

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「女性合わせ」でスタイリングした、ダブルジャケットも登場。

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ガーリーなワンピースに穴あきのデニムとスニーカーのスタイリングに、ニルヴァーナのカート・コバーンの姿を見る人も多いはず。

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その他にも、穴の開いたビッグニットや、色褪せたような質感とざっくりとした刺繍が特徴的なニット、アニマル柄のコートなど、90年代グランジスタイルをアレッサンドロ・ミケーレ流に解釈したスタイリングが多く見られました。

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色落ちしたような「褪せた質感」、左右非対称で中途半端な「歪さ」、洋服に施された「ほころび」、下着が見えている「だらしなさ」など、一般的には美しないとされる“ルーズ”なスタイリング。

これらは、「美しくなくてはならない」というファッションの「固定概念」の痛烈な批判ととらえるのは、考え過ぎでしょうか?